自己破産で免責不許可事由に該当すると借金が免責されない
自己破産手続きをすると借金返済の義務がなくなりますが、手続きすれば必ず借金返済の義務がなくなるというわけではないです。
自己破産で借金返済の義務がなくなるのは、裁判所から免責許可を得られた場合に限ります。つまり裁判所から免責許可を得ることができなければ借金返済の義務はそのまま残ってしまうということになります。
そんな裁判所から免責不許可が出る事例は「免責不許可事由」と呼ばれており、「免責不許可事由」に該当すると、自己破産しても借金が免責されないので注意しましょう。
では「免責不許可事由」とはどのようなものが当てはまるのでしょうか?下記で自己破産の「免責不許可事由」についてわかりやすく解説しているのでよかったら参考にしてください。
免責不許可事由に該当する11の事例
自己破産しても借金が免責されない免責不許可事由をわかりやすく説明しています。
自己破産を利用して借金整理を考えているなら下記のような免責不許可事由に該当しないような手続きをすることが重要になってきます。
- 資産・財産を隠す
- 偏頗弁済をする
- ギャンブル・投資・浪費が借金理由
- クレジットカードの現金化
- 虚偽の収入で借金した
- 帳簿を偽造したり改ざんする
- 債権者を意図的に隠す
- 手続きで嘘を語る
- 破産管財人へ業務妨害する
- 過去に自己破産して7年未満
資産・財産を隠す
自己破産すると高額資産が没収されてしまったりするので、中にはどうしても没収されたくない資産があって、その資産を隠すようなことをしてしまうケースがあります。
ただ当たり前ですが、財産を隠したり、財産の価値を意図的に減少させるような行為は債権者にとって不利益になることから、免責不許可事由に該当します。
まあ、資産を隠されてしまったら正確な手続きができないので当然ですよね。
偏頗弁済をする
偏頗弁済とは特定の債権者だけに優先的に借金返済するような行為のことを言います。
自己破産すると借金が全て免責されますが、中には連帯保証人が設定されているのがあったりして、自己破産前に返済しないと連帯保証人に迷惑がかかるような場合もあります。
しかしだからと言って、一部の債権者の借金だけを優先的に返済すれば債権者の間に不公平が生じることになります。
ギャンブル・投資・浪費が借金理由
ギャンブルや投機などを目的にする株やFX、先物取引などの投資などによる借金は「射幸行為」とみなされてしまい免責不許可事由に該当します。
他にも常識では考えられないような浪費などをして、その結果、借金を返済できなくなってしまったようなケースも免責不許可事由にあたります。
まあ、何でもかんでも自己破産できてしまっては問題なので、こういった理由で借金返済できなくなってしまった場合に自己破産できないのは、ある意味では仕方ないと思います。
クレジットカードの現金化
クレジットカードの現金化も免責不許可事由に該当します。
クレジットカードの現金化とはクレジットカードのショッピング枠で買い物をしてその品物を業者に売却するなどして現金を得るということです。
自己破産をするくらい借金返済に困っているようなケースだと、こういったことをしてしまう方もいますが、こういった行為は自分の首を絞めるだけになるので注意しましょう。
虚偽の収入で借金した
自己破産を考えるくらい借金が増えてくると、なかなかお金を貸してくれなくなってくるので、人によっては虚偽の収入を申告して借金をするような場合があります。
当然ですが意図的に人をだましてお金を借りたりすれば問題になるのは当然です。ちなみに他に借金があることを隠してお金を借りたりした場合も免責不許可事由に該当します。
帳簿を偽造したり改ざんする
自己破産する場合には給与明細や通帳、確定申告の書類など色々な資料を提出することになりますが、こういった書類を意図的に改ざんして提出した場合には当然ですが、裁判所から免責を得ることはできないです。
常識で考えても、改ざんされた書類を出されたら誠実さがないと思われても仕方がないので、自己破産が認められるわけないですよね。
債権者を意図的に隠す
自己破産する際には債権者名簿を提出することになりますが、その際に、意図的に債権者を隠すようなことをすると免責不許可事由に該当するので注意が必要です。
連帯保証人が設定されているような借金で、自己破産すると親族などに迷惑がかかるような借金がある場合に、債権者名簿から外すという行為が該当したりします。
手続きで嘘を語る
自己破産する場合には裁判所の方で資産調査したりしますが、その際に説明を拒んだり虚偽の説明をしたりすると免責不許可事由に該当します。
自己破産手続きで当事者が手続きに協力的でない場合には、当然ですが裁判所の方でも免責を認めないということです。
自己破産での調査にはしっかりと誠実に対応することが重要になってきます。
破産管財人へ業務妨害する
自己破産では管財事件になると破産管財人が選出されて、資産の調査を行ったり、資産の換金や配当などの業務を行うことになります。
自分の資産が没収されて換金されることについて、不満に感じる方もいるかもしれないですが、だからといって破産管財人に非協力的だと免責不許可事由に該当して借金が免責されないことになるので注意が必要です。
過去に自己破産して7年未満
過去に自己破産していて、免責許可確定日から7年以内に申立てがあった場合には免責不許可事由に該当します。
まあ、何度もでも自己破産が認められてしまったら、際限なく借金を踏み倒す方も出てくると思うので、当然の処置と言えると思います。
裁量免責で自己破産できる可能性もある
自己破産手続きで上記のような免責不許可事由に該当するような場合には、手続きしても裁判所から免責を得ることができずに、借金がそのまま残ってしまう可能性があります。
ただ免責不許可事由に該当すると必ず免責許可が得られないというわけではないです。状況によっては裁判所の判断で免責を得られる場合があります。そのことを裁量免責と呼びます。
裁量免責が得られれば免責不許可事由に該当していても、借金を免責してもらうことができるので、裁量免責を得られるかどうかは非常に重要になります。
裁量免責を得るのに重要なのは手続きに対して協力的である事や、破産することに反省しているか、経済的に再生する可能性があるかなどが影響してきます。
特に自己破産手続きでの態度は重要で、しっかりと反省して手続きにも協力的であることは必須です。また反省してしっかりと金銭管理をして二度と自己破産しないような姿勢を見せることも大事です。
自己破産手続きに対して誠実に対応することが裁量免責を得るためのポイントだと知っておきましょう。
自己破産で免責不許可になる確率は?
自己破産で免責不許可になる確率はかなり少なく、全体の1%ほどです。
自己破産でも免責許可が出る確率が97%程度で、自主的に申立の取り下げを行うのが2%前後で、残りの1%が免責不許可という割合になります。
基本的には裁判官は免責不許可を出すことは少なく、申立ての取り下げを勧めることが多いので、自己破産の却下は3%くらいだと思っておくといいです。
こういった確立を見ると、自己破産で免責不許可になって手続きが失敗することはかなり少ないと思って問題ないです。
まあ、自己破産については、普通は法律事務所が手続きを行うことになるので、最初から免責が見込めないような状況なら法律事務所が自己破産手続きを断ると思います。
そのため法律事務所が自己破産手続きの依頼を受けて手続きを進めれば、ほぼ間違いなく免責を得られると思って問題ないです。
とは言っても経験の浅い法律事務所に依頼すると手続きを失敗するという可能性がないわけではないので、自己破産を依頼するならできるだけ経験豊富な司法書士などの法律事務所に相談しましょう。
自己破産で免責不許可になってしまった場合はどうする?
自己破産で免責不許可になる確率は小さいですが、免責不許可になる可能性はあるので、仮に免責不許可になってしまった場合にどうすればいいでしょうか?
方法としては即時抗告するか、別の債務整理方法を利用するかということになります。
- 即時抗告
- 任意整理
- 個人再生
即時抗告
即時抗告はいわゆる裁判でいうところの異議申し立てという感じです。即時抗告の申立ては免責不許可の判断をした裁判所に行うことになります。
即時抗告した場合にはまずは地方裁判所で考案されて、それでも決定変更がされない場合には高等裁判所で再審理されることになります。
ただ免責不許可に対する即時抗告の申立期間は1週間しかないので、早めに自己破産を依頼した司法書士や弁護士と相談してどうするか判断するといいです。
しかし即時抗告しても判断が覆る可能性は低いのであまり過度な期待はしないほうがいいと思います。
任意整理
任意整理は自己破産とは違って裁判所で手続きする債務整理方法ではなく、債権者と交渉して返済条件を変更してもらうという債務整理方法なので、裁判所の判断で手続きが失敗するということはないです。
ただ交渉によって返済条件が決まる債務整理方法なので、交渉する司法書士や弁護士の選び方に失敗すると、満足の行く内容で和解交渉をすることができなくて、結果的に失敗する可能性があります。
また自己破産と比べると借金の減額幅が小さいので、自己破産するくらい借金で追い詰められているようなケースだと、任意整理しても借金完済が難しい場合も考えられるので、自己破産の代わりになるかというと微妙です。
個人再生
個人再生は自己破産と同様に裁判所で手続きする債務整理方法で、手続きの効果範囲が自己破産と同様に全ての借金になるので、自己破産の代わりの債務整理方法を検討している場合には個人再生が一番の候補になります。
個人再生は自己破産のように借金が全額免除されることはないですが、借金が最大で10分の1まで減額することができるので、元本からかなりの借金の減額をすることができます。
任意整理と比べても個人再生の方が借金の減額幅が大きいので、自己破産で免責不許可になってしまって、自己破産できないような状況になってしまった場合には個人再生のような債務整理方法が候補になると思います。
まとめ
自己破産で免責不許可事由に該当すると裁判所から免責を得られない可能性がありますが、裁量免責によって免責不許可事由に該当していても、免責を得られる可能性があります。
ただ複数の免責不許可事由に該当しているようだと、さすがに裁量免責を得られない可能性があるので注意が必要です。
免責不許可事由に該当しやすいのが、ギャンブルや浪費、投資などの借金理由に関する部分だと思うので、こういった借金理由で自己破産する場合には司法書士などの法律事務所に自己破産が可能かどうかあらかじめしっかりと確認しておくといいです。
基本的に免責不許可になる確率は非常に低いので、法律事務所がしっかりと手続きをしてくれれば、普通は免責を得ることができます。
そのためギャンブルや浪費、投資などの借金理由の場合でも、自己破産はあきらめずに、法律事務所と相談して可能かどうか可能性を探ってみるといいと思います。
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